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世界の歯科医療保険制度

2026年7月25日

長かったサッカーのワールドカップが終わりましたね。国が違えばサッカーのスタイルも変わるように、歯科医療保険制度も大きく変わります。

世界の歯科医療保険制度は、大きく分けて「包括的公的保険型」「公的扶助・予防優先型」「自己責任・民間保険型」の3つに分類されます。それぞれの特徴を説明します。

 

1. 包括的公的保険型(日本・ドイツなど)

ご存じの通り、公的医療保険に歯科治療が組み込まれており、誰もが平等にアクセスできる制度です。「いつでも、誰でも、安価に」治療を受けられる一方、「治療の制限」と「国の財政負担」のバランスに苦慮する制度ともいえます。 日本と同様、ドイツでも公的保険が適用されるのは「機能回復に必要な最低限の治療(銀歯や安価なプラスチック)」です。見た目の美しさ(セラミック等)や、より長持ちするインプラントを選択すると、全額自己負担、または差額を自己負担する「混合診療」の扱いとなります。

また、ドイツでは毎年の定期検診を記録する「ボーナス手帳」なるものがあります。5年〜10年間、毎年欠かさず検診を受けていた人は、将来大きな治療(被せ物や入れ歯など)が必要になった際、公的保険からの補助率が引き上げられる仕組みです。受診者に予防を促し、国の医療費を抑える工夫がなされています。

 

2. 公的扶助・予防優先型(北欧諸国など)

予防処置と子どもへの投資を最優先し、大人の治療は一部自己負担とする制度です。スウェーデンでは23歳まで歯科治療が無料ですが、これは一般の税金(地方税)で100%賄われています。「若いうちに健康な口腔環境を作れば、大人になってからの医療費が減る」という長期的投資の考え方があるようです。24歳以上の成人は有料になりますが、公的な「定額制歯科保健契約」というサブスクリプション制度が普及しています。これは、過去の虫歯リスクに応じて年間料金(数千円〜数万円)が決まり、その範囲内であれば検診も治療も追加費用なしで受けられる仕組みです。リスクが低い人ほど安くなるため、患者は必死にケアを継続するそうです。

 

3. 自己責任・民間保険型(アメリカなど)

公的な国民皆保険がなく、個人の経済力や勤務先の福利厚生に依存する制度です。完全な市場原理主義であり、「歯の美しさはステータス、病気は自己責任」を地で行く制度といえます。メディケア(高齢者向け)などの公的保険でも歯科は限定的で、多くの人が民間の歯科保険(Dental Insurance)に加入しています。

競争原理が働くため、最先端の治療技術や審美歯科、質の高いサービスが受けられますが、保険未加入の場合、例えば歯の根の治療1本で10万円以上など治療費が破格となっています。つまり、経済格差がそのまま歯の健康格差(未治療の放置)に直結します。

 

今回は、一部の国の状況をお伝えしました。制度の優劣には言及しませんが、日本の歯科医療保険制度について再考するきっかけになればと思います。

 

新潟市歯科医師会 口腔保健福祉センター部

駒形雄気

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