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酸蝕症について

2021年2月23日

新型コロナウイルス感染症の拡大で、自宅で過ごす時間が増えた方も多いと思います。自宅で過ごす時間があると、ついつい飲み物や甘い物を口にする機会が増えることかと思います。人によっては炭酸飲料や栄養ドリンクを愛飲したり、健康のためにお酢系飲料を好んで口にする方もいることでしょう。そこで心配なのが、「酸蝕症」という歯が溶ける疾患です。

酸蝕症は化学的な歯の溶解が生じるものと考えられ、虫歯菌が作り出す酸で歯が溶解する「う蝕」とは違います。

一般的には、カラダの内側から口に入る内因性因子とカラダの外側から口に入る外因性因子の2つが原因として考えられます。

今回は外因性因子を中心に記載しますが、以前はメッキ工場などの酸性ガスの吸引による職業性因子が主な原因でしたが、現在では、酸性飲食物の過剰摂取が主流と考えられています。下記に示すのは酸蝕症が起りやすいケースです。

 

酸蝕症が起こりやすいケース

1.部活動などの試合や練習中にスポーツドリンクを飲みっぱなしである。また頻回に少量ずつ飲むケース。

2.おつまみなどを食べないでワインや酎ハイをちびちび長時間飲むケース。

3.水分補給の為にビタミンドリンクや黒酢ドリンクを愛飲するケース。

4.朝食に健康のためグレープフルーツを食べ、その直後に歯磨きをするケース。これはグレープフルーツの酸により歯の表面のエナメル質が柔らかくなっている状態で、そこに歯ブラシの毛先や歯摩剤の影響により歯がすり減ってしまうのです。

5.就寝前にお酢を飲んでそのまま寝てしまうケース。これは、就寝中は唾液の分泌が少なく、口の中が酸性から中性へなかなか戻らないので酸蝕症を発症しやすいです。

6.授乳期を過ぎた幼児にスポーツドリンクを哺乳瓶で夜飲ませる。

7.酸性の強い温泉の湯を健康のために愛飲している。

 

次に酸蝕症の予防について示します。

酸蝕症の予防について

1.酸性の飲食物を口にしたらその後すぐにお茶か水を飲む。

2.30分から1時間程度は歯磨きを控える。

3.だらだら食べたり飲んだりしない。メリハリをつけて食べているなら心配はない。

4.寝る前に、酸性の飲食物を口にしない。就寝中は、唾液の分泌が少ないので、pHが戻りにくい。特にいびきをかく癖があると、口の中が乾き、酸性の溶液が残りやすくなります。

 

最後に、酸性飲食物を摂取したからといって、すぐに歯が溶けるわけではありません。唾液が酸性から中性へ戻してくれます。しかし頻回に摂取することで、酸性からの回復が間に合わず歯が溶けてしまうことが起こるのです。まずは食生活の見直しから始めることが一番の対策ではないでしょうか。心配な方は歯科医院での健診をお勧めします。

 

海津歯科医院  海津 基生

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