新潟市歯科医師会

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血をサラサラにする薬と歯科治療

2021年10月25日

皆さんや皆さんのご家族で「血をサラサラにする薬」を飲んでおられる方も多いと思います。でも薬の名前や詳しい作用を知っている方は少なく、歯科治療前の問診でも、「薬の名前は覚えていないけど血をサラサラにする薬は飲んでいる」とおっしゃる方が多いです。血をサラサラにする薬は、作用によって大きく2種類に分けられ、ひとつは血管が傷ついたときに急いで蓋をして修復する材料となる血小板の作用を抑える「抗血小板薬」で、もうひとつは血液中の血を固める成分(凝固因子)の働きを抑え、血栓の形成を抑制する「抗凝固薬」です。抗凝固薬は、さらに、血が固まる際に必要なビタミンKの作用を阻害する薬(薬剤名:ワーファリン)と、凝固因子に直接作用して血を固まりにくくする薬(薬剤名:プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナ)に分けられます。

抗血小板薬には幾つかの薬剤がありますが、同時に複数の抗血小板薬を飲んでいる場合には歯科治療でも出血リスクに気をつける必要があります。抗凝固薬の場合は、ワーファリンでは作用のコントロールが難しいために、歯科治療の際は血液検査の結果を確認する必要がありますし、食べ物にも注意が必要です。また、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナのいずれかを飲んでいる方は、飲んでからの時間が重要ですので、歯科治療の内容によっては治療の時間帯が限られることがあります。

これらの「血をサラサラにする薬」を飲んでいても、大抵の歯科治療は可能なのですが、治療内容や薬の効き具合によっては、処方医とも相談して一時的に薬を中止していただくこともあります。指示なしに自分の判断で薬を中断される方もおられますが、これは絶対に止めてください。心配な方は必ず処方医や歯科医に相談してください。

「血をサラサラにする薬」に限らず、歯科治療の際に薬の情報はとても重要です。歯科治療の際には、お薬手帳や薬の内容がわかるものを必ず持参して見せてください。また、薬を飲むことになった病気や手術の情報も重要ですので、病名や手術名をメモにしてお薬手帳などに挟めておくといいと思います。血液検査をしたらその結果も必ず歯科医に見せていただけるようお願いいたします。

 

新潟医療センター歯科  道見 登

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