新潟市歯科医師会

ホーム > いい歯ブログ > TCHについて

いい歯ブログ

TCHについて

2022年2月25日

歯を「噛みしめて」いませんか?

「TCHとは」
まず、TCHとは何かについて説明すると、それぞれのアルファベットの頭文字で
T:Tooth(歯)
C:Contacting(接触)
H:Habit(癖)
日本語では〈歯牙接触癖〉または〈歯列接触癖〉という意味で、字のごとく〈歯を接触させる癖〉ということになります。
まず皆さんに是非とも理解していただきたいのは
人は“上下の歯が接触していない状態が正常”ということです。
歯を接触させる必要があるのは、食事の時と限られた発音の時だけなのです。
普段、歯が接触しているかどうかなんて、考えたことも意識したこともないですよね。
だから、無意識のうちに歯を接触させることが癖となってしまっている人が、意外と多くいらっしゃいます。
ちょっと意識をしてやってみましょう。
まず、唇を閉じたまま歯を離す、この状態で鼻から深呼吸をしてみましょう。今まで歯を接触させている・噛んでいることが習慣だった人は少し違和感があるかもしれません。
また、椅子に深く腰を掛ける・椅子から立ち上がるという動作を2~3回繰り返してみてください。そして、椅子から立ち上がりそのまま歩き出してみてください。
この時、上下の歯がどこか当たっていませんか?一部だけ当てていることもありますし、しっかり噛みしめている場合もあります。
寒い時期などは、それだけで噛みしめてしまっていることも多くあります。
仕事中、車の運転中、テレビやパソコン、スマホやタブレットを見ているときなど大抵の場合は本人に自覚が無いまま、常に歯を当てている状態で生活していることがあるのです。

「TCHの害」
必要な時(咀嚼・発音のごく一部)以外で上下の歯を接触させていると、歯や体にとって、あまり良いことはありません。
〇歯痛・知覚過敏
歯を当てる回数が増えると、歯にかかる負担が増えます。TCHによって一日のうち何回も歯を接触させると、歯に対する負担は何十倍にもなり、むし歯ではないのに歯の痛みや冷たいものがしみるといった症状が出ます。
〇顎関節症
噛みしめによって顎の関節にも負担がかかり、口の開閉で関節から音がするようになったり、顎を動かすと痛むようになったりする場合があります。
〇肩こり・頭痛
TCHにより顎を動かす筋肉が常に緊張し続けているため、筋肉が疲労します。顎を動かす筋肉は、首や肩、こめかみや頭の筋肉にもつながっているため肩こり、頭痛を引き起こす原因になっている場合があります。
その他、舌が痛い、かぶせ物や詰め物がはずれる、歯周病の進行が早まるなど様々な症状に影響している場合があります。

「TCHを治すには」
TCHを治す方法はとてもシンプルです。
”歯を接触させないようにする”
これが全てです。
ただし、シンプル=簡単というわけではありません。無意識にやっている癖を治すのは、なかなか難しいですよね。そこで、試していただきたい方法は〈紙に書いて貼っておく〉です。
例えば
・歯を離す
・唇閉じても歯は当てない
・歯を離してリラックス
などと書いて、貼り紙をしておくのです。パソコンやテレビのモニターの隅や、車の運転中にふと目に入る場所や、職場のデスク、台所、寝室など目につくところに貼っておきます。携帯の待ち受けにしてもいいかもしれません。この貼り紙を見るたびに実行するわけです。普段は無意識なので、それを意識下に置くためには有効な手段となります。

TCHはあまり知られていないかもしれませんが、肩こりや頭痛の原因になっている場合が多くあると思います。
是非ともお試しください。

それでは
皆さまが「健口」でありますように

新潟市歯科医師会 地域保健部 原 健人

いい歯ブログ一覧