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妊娠中の歯科治療の薬剤についてのお話

2022年8月25日

妊娠中は女性ホルモンの影響でお口の中は乾きやすく、そのために歯や歯肉にトラブルが起きやすくなっています。基本的に妊娠中の歯科治療はつわりや流産のリスク、赤ちゃんの大事な体の形成期であることから、初期(~妊娠4か月)には、できるだけ簡単な処置の範囲にとどめ、もし治療を進めるとしても妊娠中期以降から(妊娠5か月~7か月)が望ましいとされています。妊娠期間中でも、歯や歯肉の状態によっては麻酔を使うような治療になることもあれば、服薬が必要となる場合もあります。もし麻酔を行い、さらに薬を処方された場合、赤ちゃんへの影響はないのかが心配になりますよね。

麻酔は部分麻酔ですので、治療する歯の周囲のみの作用となり、胎盤から赤ちゃんへ移行する薬量も少ないので影響はほぼないと考えられています。治療中の痛みを我慢するよりは麻酔をした上でストレスなくスムーズに治療を行う方がいいでしょう。

薬剤については歯科治療では主に抗菌薬、鎮痛薬の処方が考えられます。妊娠中の抗菌薬ではセフェム系、ペニシリン系、マクロライド系のものがお腹の中の赤ちゃんの体の形成にも影響なく、安全に使用できるといわれています。抗菌薬は細菌感染による炎症を抑えるものなので、歯の痛みや腫れが強い場合は炎症が悪化しないように決められた用量、用法で、自己判断で辞めることなくしっかり使う事も大事になります。

鎮痛薬についてはアセトアミノフェンが全ての妊娠期を通して安心して使えるものとされています。それ以外のものは胎児への影響がある場合もあるので、慎重に使うべきと位置付けられています。

このような妊娠期における薬剤の取り扱いについて、産婦人科医、薬剤師、小児歯科医が話し合って「妊娠中の歯科治療薬の使用について」のポスターが作成されました。小児歯科学会HPから一般公開されています。下記URLからご覧いただけますので、ぜひ参考にされてください。

「妊娠中の歯科治療薬について」ポスター

https://www.jspd.or.jp/common/pdf/ninshin_medicine.pdf

ポスターについての詳しい情報(妊娠中の薬剤の使用について相談も受け付けています。)

妊娠と薬情報センター | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)

新潟市歯科医師会 広報情報部 岡田 萌

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