新潟市歯科医師会

ホーム > いい歯ブログ > 冬の歯ぎしり

いい歯ブログ

冬の歯ぎしり

2023年1月25日

大寒を過ぎ、いよいよ寒さと積雪が本番を迎える時期になりました。皆さん身体の疲れが溜まってきていませんか。

様々な不調が増える時期ですが、寒い時期には顎の痛みも増えがちです。顎関節の痛みや口の開けづらさ・咀嚼時の咬筋の痛みなど、本来楽しいはずの食事が苦痛に変わるというのが顎の痛みの嫌な所です。

顎の変調が生じる原因は種々ありますが、この時期の問題の一つは身体の冷えです。夜間冷え込む時期は睡眠中のブラキシズム(歯ぎしり、食いしばり、カチカチ癖)が起こりやすいようです。また寒さで無意識に体に力が入っていたり、除雪で疲れたりといった日中の疲労が睡眠に影響し、疲れているのに熟睡できないといった問題が生じることがあります。ブラキシズムは体調不良や疲労など、身体にストレスがかかっている時に生じやすいと言われています。

夜間のブラキシズムでは、意識がある時には考えられないような強い力が発生します。覚醒時に上下の歯が合わさる際、歯の周りの歯根膜というクッション材と周囲の神経がセンサーとなり、異物を思い切り噛んだ時などは反射運動によって開口して強すぎる荷重を防ぐようになっています。睡眠中はこの反射が鈍くなり、体重のおよそ3倍程度の嚙み合わせ力がかかると言われています。50㎏の人なら150㎏重、100㎏の人なら300㎏重ですね。この力がかかり続けることで顎関節の障害、筋肉の痛み、歯の動揺や破折などの問題が発生します。またそれほど重篤な症状でなくとも、軽度のひび割れやすり減りにより知覚過敏が誘発されることもあります。

夜間のブラキシズムはコントロールが難しいので、ナイトガード(マウスピース型の歯面保護材)を装着し症状の発生を予防する場合もあります。興味のある方はお近くの歯科へご相談ください。しかし、まずは睡眠前に身体をしっかり温めて免疫力を高め、日中の疲労を緩和してより良い睡眠をとることが重要です。体温が低下していくタイミングで入眠しますので、就寝2時間前を目途に入浴するようにしましょう。また胃に食物が入っていると消化のために胃腸が働いて深部体温が上がってしまうので、就寝3時間前は食事をしないことも重要です。

明日の元気のために、今日も楽しい食事とより良い睡眠をお取りください。

 

学術・医療管理部会 重谷寧子

いい歯ブログ一覧