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災害時の口腔ケアについて

2024年2月25日

歯ブラシ不足などで満足に歯磨きできない避難生活が長期化すれば、偏った食生活やストレスなども誘因となって、虫歯や歯周炎、口内炎、口臭などの口腔内の問題が生じやすくなります。口の不健康は、体全体の健康にも影響します。特にライフラインが断絶して水の供給が不足している場合、脱水を防ぐ水分補給は生命維持に不可欠なため、節約して水を使う必要があります。そのため歯磨きやうがいなどの口腔清掃が疎かになりやすく、注意が必要です。

 

口腔内を清潔に保たないと、子どもにおいては冬場のこの時期、インフルエンザや風邪といった呼吸器疾患に罹患するリスクが上がります。

また、高齢者の場合も同様に誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症が増加する可能性が高まり、時には死に至る重篤な状態に及ぶこともあります。

 

避難所などでの口腔ケアの工夫や注意点

 

・歯ブラシが手に入らない時の口腔ケア

清潔なタオルやティッシュを人差し指に巻きつけ、親指で端を押さえてゆるまないようにします。親が口の小さな乳幼児に対して行う時は、小指に薄めのガーゼ等を巻くといいでしょう。この状態で歯ブラシのように歯の表面をこすり、できる限りの歯垢(プラーク)を取り除きます。歯と歯の間、奥歯の溝など、細かな所をキレイにするのは難しいですが、非常時にはとても役立つ方法です。ただし、ティッシュの場合は唾液の水分で破れやすくなり、繊維質が口の中に残って不快な思いをすることがあるため、より丈夫なペーパータオルなどを使うと便利で清掃効率も上がります。

 

・食後に水やお茶でブクブクうがいする

歯ブラシがなくても水が使用できる場合は、食後のブクブクうがいで、できる限りの食渣(食べかす)を口の中から取り除くことも重要です。また、唾液は口の中をキレイにする効果があるため、耳の下や顎の下を手でもんで唾液腺のマッサージを行い、唾液を出しやすくことも大切です。「よく噛んで食べる」ことも唾液を出すことにつながります。

 

・災害用の歯磨きグッズを使う

水のいらない歯磨きシートや、専門的な口腔ケア用ティッシュも販売されており、いつ災害が起きても対応できるようにいつも持ち歩いておくことが大切です。また、水が不足しがちな災害時に便利な液体歯磨剤を使うこともお勧めです。すでに準備できているという人でも、その歯磨きグッズに問題ないかを定期的に確認することは必須です。未開封であれば使用期限は長い商品が多いものの、非常時にすぐに使えるように、例えば1年に一度の「防災の日(9/1)」などにチェックする習慣を持ちましょう。

 

新潟市歯科医師会 口腔保健福祉センター 河野 雅之

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