歯周病によくある疑問についてお答えしたいと思います。
①歯周病になりやすい人はいるのか?
口の中に歯周病菌が多いほど、歯周病になりやすいといえます。日本人の4割の口にはかなりの歯周病菌が存在し、5割には中程度の歯周病菌が存在、1割にはほとんど見られません。 またリスクを高める因子として喫煙や糖尿病などがあります。
②歯磨きをして出血したら磨かないほうがいいのか?
歯磨きをして出血するのは、歯周病によって歯ぐきが炎症を起こしている証拠です。むしろしっかりと歯磨きをすることで、プラーク(歯周病菌)を取り除き歯ぐきからの出血も改善してきます。
③若い人は歯周病になりにくいのか?
一般的に子どもは歯周病になりません。18歳未満では主要な歯周病菌(Pg菌)はほとんど検出されないからです。また、20歳代は体力も免疫力もあり、抵抗力が高い状態です。
30歳を過ぎると、歯周病の人が増えてきます。
④歯周病菌はどこからくるのか?
歯周病菌はヒトが生まれたときには口の中に存在しません。唾液を介して人から人へと移っていきます。食器具の共有や直箸(じかばし)、キスによる唾液の移動などがその例です。しかし歯周病菌の感染を完全に防ぐことは現実的に不可能なので、歯周病にならないよう予防することが大切です。
⑤歯周病はなぜ痛くないのか?
齲蝕と違い、歯周病は罹患しても強い痛みはなく、違和感や鈍痛がほとんどです。そのため歯周病を自覚しにくかったり、気づかないうちに進行していることがあります。例えば手足などをぶつけたところには白血球などを含んだ体液が溜まり、内圧が高まり神経を圧迫し、ズキズキと痛みを生じます。歯周病の場合は、歯周ポケットの傷口から血液や体液が流出するため内圧が高まらず、神経を圧迫しないので痛くないのです。
⑥歯周病は薬だけで治らないのか?
抗菌薬を内服することで、歯周ポケット内の細菌を一時的に減らし歯周病の改善を図ることは可能ですが、そのままでは2~3ヶ月で後戻りすることが知られています。歯周ポケット注入型の抗菌薬も同様です。現在までに歯周病の特効薬はありません。
⑦歯周外科治療を受ければ必ず治るのか?
歯周外科治療によって歯周病の原因をより的確に除去し、改善を促すことが可能になります。再生治療では骨や歯ぐきを再生することが可能ですが、複雑な歯周病の病変ではその効果は限定的であることも少なくありません。完治させるというより病変の進行を抑え、コントロールしやすい状態にしてより長く機能させるようにする目的で行われることが多いです。
新潟市歯科医師会 総務部 田井 秀明