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口腔の健康と脳

2025年9月25日

口腔(こうくう)には、食べる(消化器官)、しゃべる(構音器官)、息をする(呼吸器官)、感じる(感覚器官)といった役割があり、さらに顔面の一部を構成して、顔貌にも影響を与えます。いずれも生命の維持や生活に重要であり、赤ちゃんが何でも口で確かめようとする動作からも、口腔が人間にとって本能的な部分を担っていることがわかります。また、脳の中でも口腔やその周囲の感覚や運動を司る範囲は他の身体の部分と比べて広く、口腔と脳はお互いに影響し合い、とても密接な関係にあると言えます。10年以上前の研究ですが、数千人の口腔の状態と認知症発症の関係を調べた結果、自分の歯でしっかり噛める人に比べて、歯を失ったまま十分に噛めない人は認知症発症リスクが高まることが報告されました。これは何を意味するのでしょうか? 私は、歯が少なくなることで噛む力の刺激が脳に伝わりにくくなるだけでなく、「食べる楽しみ」が脳の機能維持に影響している結果だと思っています。

 

私達は食物を食べる時に、単純に口に食べ物を入れて飲み込むだけでなく、その場の雰囲気、音、香り、見た目、温度、味、食感など、様々な情報をまとめて「美味しさ」を判断しています。これらの情報が「食べる楽しみ」です。さらに「これは美味しい!」という情報は、生きていくために有用な情報として本能的に脳のネットワークを活性化させ強く記憶されます。

 

「食べる楽しみ」には口腔の健康が欠かせません。口腔の健康が「食べる楽しみ」につながり、脳を活性化させ、認知症の予防にもつながるのです。

 

 

新潟市歯科医師会

新潟市口腔保健福祉センター部員 道見 登

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