
乳幼児期の指しゃぶりは,ごく普通にみられる習慣で,口腔機能や心の発達の面では意義の大きいものです.成長に伴い対人関係が広がり,社会性が発達することによって,3〜4歳ころに徐々になくなる傾向があります.しかし4歳以降も指しゃぶりが継続している場合は,上の歯がでてきたり,前歯がかみあわなかったりするなどの不正咬合の原因となる場合があります.前歯のかみあわせが崩れると,呼吸や舌の位置,口唇閉鎖にも影響がでてくる可能性があります.
あまり口うるさく注意するとストレスになると言われていますが,不正咬合となった場合,将来矯正治療が必要になることを考えると,永久歯がはえる頃までにはやめさせたいものです.寝つきがよくなるよう外遊びをさせたり,寝る時に本を読んであげて,寝つくまで見ていてあげることも有効だと言われています.
学童期にさしかかる子供であれば,自分でも指しゃぶりはあまり好ましくない行動なのだという自覚を持ち始めるころです.「もう指しゃぶりはやめよう」という意志がある子供には,ほめながらその気持ちが継続するように協力してあげてください.まだそういった自覚や意志のない子供には,指しゃぶりの影響がどのような形で出てくるのか写真や絵などを交えながら説明し,指しゃぶりをやめるきっかけを与えてあげてみてください.
子供の場合は,成長というファクターもあり変化が大きいのが特徴です.機能改善が軌道にのると,驚くほどの効果がある場合があります.指しゃぶりがなくなることで,自然と咬みあわせが改善し,さらに口呼吸,舌癖,口唇閉鎖不全が軽減するかもしれません.
新潟市歯科医師会
総務部 長沼 一雄